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LABレポート>NEWホイール〈レーシングホイール開発-2章:ハブ編-〉

レーシングホイール開発・2章_今回は、ハブ編です。

ハブと言えば、ホイールの性能を左右する要となる重要な機能パーツ!!
慎重に選定しなければ!!
今回のレーシングホイール開発にあたり機能的な部分とは別に設定された課題は、
「なるべく販売価格を抑える!!」ということ。
そうすると台湾に比べて調達コストが約1/3の中国が良いということになる。

不安はあったがとりあえず中国でハブを探してみることに_。
そこそこの性能の物はあっても最上位のレーシングホイールにふさわしい物はやはり見当たらない。
最終コスト的な不安はあるがやむを得ず台湾で探すことに_。

台湾は自転車製造に関しては世界一の拠点。
高品質のナショナルブランド勢揃い!!
そうなれば、どのブランドを選ぶかだけの話。
チョイスしたのは、数々の有名ブランドのOEMも手がける、ご存じ「NOVATEC(ノバテック)」
もちろん、品質の信頼性も申し分無し!!
さっそくNOVATEC製のハブをいくつか入手して検証してみることに_。

ハブ1

最終的に絞りこんだハブは、
NOVATEC A291SB
NOVATEC A291SB-SL の2種。
SB-SLは、SBの軽量化モデルで上位グレードの位置づけとなる。
双方の市販価格の差に比べると調達価格にさほど差がなかったため、グレードの高いSB-SLを採用する方向で決定。
実際にホイールに組み込んで見ると_。
気持ちいい位、無抵抗でホイールが回る!! 文句の付け所がない!!
採用ハブは、SB-SLに決定!!

その後、細い15番スポークや、アルミニップルを選定_

ある日、ホイールを実車に装着して、何気なく空転させると・・・・・
「?」
無抵抗な感じは変わらないが何か回転にブレーキがかかっているような・・・・・
実車から外して、空転させてみる・・・・・
スムーズに回る。 「???」

この段階で理由は、わからなかったがSB-SLは、実車に装着すると周りが鈍くなることは明かなようだ。
試しに、SBをホイールに組み込んで試してみると・・・・・
SBの場合、ホイール単体で空転させたときと変わらずスムーズに回る。

「どうしてだろう?」

双方のハブを分解してみることに・・・・・
大きな違いは、ハブケースの径の太さ。
軽量化のために、SB-SLは、SBより小径のシールドベアリングを採用して細くなっている。
加えて大きな構造の違いは、やはり軽量化対策だと考えられるがベアリングのダストカップの構造が SBがインコイル_スクリュー式に対し、SB-SLの場合、スクリュー部分の金属量を減らしたプッシュで「パッチン」式となっている。

ハブ3
↑SB-SL_プッシュで「パッチン」式

ハブ2
↑SB_インコイル_スクリュー式

加えて、ホイール単体時と実車装着時の条件の違いと言えば・・・

両サイドからの締め付け。
これらのことを踏まえて、この2つのハブを再度検証してみると・・・・・

「わかった!!」

SB-SLの場合、プッシュ式構造に若干の「遊び」があり、ダストカップを引っ張ると微妙に「カチャカチャ」と動く感じが指に伝わる。 一方、SBの場合、スクリューにスパンもある程度あるせいか、引っ張ってもダストカップは、全く動く気配がない。
つまり、LABとしての見解は、
SB-SLの場合、実車装着時加わる両サイドからの力に押され、ダストカップの構造上の「遊び」が作用して、ベアリング自体に何らかの負荷をかけていることが本来のベアリング性能を低下させる原因であると思われる。

台北ショーの際にNOVATECの技術スタッフに聞いたところ、
本来、スキュアータイプのハブは、クイックリリースを用いて脱輪を防止する目的で車輪を固定するもので、過度なサイドからの圧力は、想定されていないとの見解。
ストライダーの場合、フレームアームのスパンに対し最初からハブのワイド寸は、キツキツな状態。
すなわち、この条件が、SB-SLの場合、本来のハブ性能を低下させてしまう原因となるようだ。

と言う訳で、採用するハブを構造上悪影響の無い、SBに変更することにした。

※ST3およびST4用とPRO用のハブでは、ダストカップ先端形状が異なります。

さぁ〜次回は、最も苦労したスキュアーの開発!!

〈レーシングホイール開発-3章:スキュアー編-〉に続く