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DADDYLABから様々な情報を発信します。

LABレポート>NEWレーシングホイールの開発〈前編/全3編〉

カスタムダディのみなさん、お子様と楽しい時間をお過ごしですかぁ〜
DADDYLAB 商品開発担当のサクラダディです。
かな〜りご無沙汰してしまいましたが、さぼってた訳ではなく、相変わらず何だかんだとLAB活動(迷走?)をしていました。

昨年と今年の6月に限定商品としてレーシングホイール「カップレーサー」を発売させていただきましたが、正直なところ「DADDYLABの商品としては、対象マーケットを考慮すると少し高額すぎる気がして、いかがなものか?」という思いもあり、いまいち量産販売に踏み切ることを躊躇していました。
が。_予想以上の反響と再販希望のお問い合わせを多数いただき、僭越ながら、いい気になってレーシングホイールまた作っちゃいます。

とういう訳でここからは、いつものLABレポート風に_。

さて、新しいレーシングホイールをどのような商品とするか?
開発にあたり前提に置いたポイントは_ カップレーサー(26,800円)より安く提供でき、かつ性能は同等以上!!
カップレーサーの様に既製パーツ(NOVATECハブ)の採用ではなく、もっとオリジナルのコンセプトを反映した面白い商品であること_
最近思っていたことは、半自虐的な考えになるが「カスタムといっても DADDYLABのパーツと交換するだけじゃん。」ということ。「交換パーツの組み合わせによってオリジナリティの演出は可能だがもっと掘り下げたカスタムの面白さを提供できる商品を作りたいなぁ〜」
みたいな想いを前提に DADDYLABの新しいレーシングホイールの開発をスタート。

ホイールの構成パーツは、リムとハブとスポーク&ニップル。
新規開発と言っても着眼するところは限られている。
リムに関しては、シュワルベ製タイヤとのマッチングを基にカップレーサーの時に作ったリムで申し分が無いし、スポーク&ニップル・・・これも、カップレーサーと同様に、サイズ15のスリムスポーク+アルミ製カラーアルマイトニップルで見た目もGOODで良し!!
ということは、やはりハブということになる。

ならばハブをオリジナルで設計することに!!

ハブの主な構成パーツは_
・ケース
・ベアリング
・アクスルパーツ
中でも、回転性能に大きく影響するのはベアリングである。
ベアリングといえば、一部のカスタムダディは、既にチェックしている様だが、
「スケボーのベアリングってスゲェー回るじゃん!! これ使えたらいい感じじゃねぇ?」

_ハイ、採用!!(あっさり)

確かにスケートボードのウィールで使われているベアリングは、ちょっとした傾斜面でも自然に転がるくらい回転性能に優れている製品が多い。理屈を考えても、ペダルから伝わる力を動力としないランニングバイクの場合、スケボー同様に「蹴る」動作によって伝わる力が瞬時に動力となる。即ち、ベアリングにかかるトルクのイメージとしては、むしろスケボーに近かったりする。

スケボーのベアリング規格は、608。
608ベアリングが収まるハブケースの設計を開始!!
同時にストライダーST-4とPROのホイール取付アームの間隔を考慮し両機種に適合可能なOLD(ロックナット間距離)を設定。 ST-3/4の場合、平ワッシャーを挿入し、PROの場合は、平ワッシャー無し(車両個体差により使用も可)で装着することを前提にダストカップを設計。アクスルシャフトの長さは、スリムナットに対応したショートサイズ(120mm)に!!
DADDYLAB_X_WHEEL_1
「出来た!!」

製造を依頼するメーカーは、クオリティを重視してカップレーサーの製作をしてもらった実績のある台湾メーカーに決定→試作依頼。

2015年3月、台湾へ飛んで完成した試作ホイールと対面。
DADDYLABのロゴがレーザーマーキングされたハブに、608ベアリングがしっかり収まっている。
DADDYLABコンプリートホイールだ!!(感激)
佇まいも申し分が無い。空転させてみる・・・・・
そこそこ回る。だが鳥肌が立つレベルでは無い。
「ん? せっかく608ベアリングのハブを作ったんだから、この際デフォルトのベアリングもスケボーの良く回るヤツにしちゃえば?_なんだったらガツンとレベル ABEC7あたりの回転性能の高いベアリングにしよ!!」
という場の思いつきでホイールメーカーに頼んでみる。
しかし自転車ホイールメーカーのせいか スケボーベアリングのABEC7の意味が伝わらない。説明だけして探してもらうことを約束して帰国。

数週間後_。

608_ABEC7ベアリングを搭載した試作ホイールがLABに届いた。
空転させてみる・・・・・

「キタァ〜〜〜〜!!」_まさに鳥肌もの!!

目を閉じて空転させると回転していることがわからないくらい超スムーズ!!
「よっしゃ、量産だ!!  カスタムダディのみんな〜待ってってくれよ〜」(どや顔)
この日の夜は、届いたホイールを回しながらニヤニヤと深夜までLABで酒を_。
本当は、枕元にホイールを置いて寝たい気分だったが、ウチの年長さんレベルと一緒になってしまうので我慢。

そして今月初旬、量産品の最終チェックのため先行で空便手配した35本のホイールが到着。
量産上がりの確認・・・・・・

「ガァ〜〜ン・・・これじゃ、ダメだ!!」

「ハブに搭載されているABEC7ベアリングの品質誤差が大きすぎる!!」
35本中、試作時のベアリング性能のものは、19本。16本は、空転時に微少ではあるが雑振動を感じる、つまりNG!!
急遽、ベアリングを再検討。
検討の結果、ベアリング単体でテストされ、それ自体が商品価値をもつ高価なABEC7ベアリングは存在するが、量産品に向く汎用ABEC7ベアリングは、無テスト品で品質誤差が大きいことが判明。
やむなくABEC7ベアリングの採用を断念。

そうなるとやはり行き着くところはジャパンクオリティ。
日本製608ベアリングをかき集めハブに装着してテストした結果、
アウターレース(外枠)とインナーレース(内枠)が肉厚で外力の影響を受けにくく安定した回転性能を発揮する〈NTN社製608ZZ〉に決定。

このトラブルが、意外と棚ぼたで、このNTN608ZZベアリングは、ストライダーの欠点をカバーしてくれる優れ物だったりする。_ような気がしている。
どういうことかと言うと_。おそらくヘビーカスタムダディの中には、気づいている方もいると思うが、 「優れた高価なハブを使って、抜群に回るホイールを組んでもストライダー車体に装着すると回らなくなる。でも、なぜかホイールの締め付けを弱くすると回るようになる。」
「どうして?」
LABでも同じ事につまずき、さんざん悩み夜な夜な泣きそうになった。
色々な検証を行った結果、この事象に関してのLABの考察は_
原因は、ストライダー車両のホイール取付座面の精度にあるのでは?と考えている。
ST-3からST-4に進化した際にだいぶ座面精度が良くはなったが、ホイールを装着しない状態で取付座面をいろんな角度から見て見ると_「ハの字」傾向だったり、「尻つぼみ」傾向だったりと左右の座面の平行精度は、けして高いとは言えない。加えて自転車規格の100mmハブに正確に設定されていない。
このままの状態でホイールを装着してナットを締め上げていくと、ダストカップにかかる圧力は、垂直にはならず、部分的に強い圧力が加わってしまう。
つまりその偏った圧力がそのままベアリングに伝わることになる。
この考察をもとに、ストライダー車両の取付座面を万力を使ってできるだけ平行に矯正、加えてハブのOLD(ロックナット間距離)と車両取付座面との隙間にできるだけ無理なくフィットするワッシャーを挿入、つまりナットを締める際に平行な面としてダストカップに圧力がかかる状態にした上でホイールを装着し、回転させてみた。
締め上げると回転が鈍くなっていたホイールがスムーズに回転する。

一見強固なステンレスケース(レース)に包まれているシールドベアリングだが意外と外的圧力の 影響を受けやすいのでは?と言う印象結果であった。

シールドベアリングは、回転機能を果たすベアリング部分をアウターレース(外枠)とインナーレース(内枠)により保護されている構造となっている。
今回、NTN608ZZを採用した理由は、レース、特にダストカップと接地するインナーレースの厚み(幅)が他の同規格ベアリングよりかなり厚いこと_
実際に海外ブランドも含め、いくつかのベアリングでテストをした結果、強い圧力に対し性能変化が見られ無かったのは、NTN608ZZのみ。
同メーカー NTN608Z(片側鋼板シールドタイプ)でも圧力影響を受けて回転が鈍くなるという結果だった。(この検証結果は、ベアリング精度の善し悪しではなく、あくまでもストライダー装着時の条件との相性としてご理解ください。)
なおかつ、 NTN608ZZは、グリスベアリングでありながらオイルベアリング級のスムーズな回転性能を持つ。
検討したベアリングの中でも一番調達価格も高いが、以上の理由により採用決定!! ABEC7ベアリングの精度トラブルをきっかけとした流れではあるが、よりベターな結果になったと大満足!!

一安心、「ふぅ〜」・・・・とも言ってられない!!
既に初回ロットは、量産済みである!! 既に船にも乗っている。
全てのホイールのベアリングを日本国内ではめ換えなくてなならない。

「ん?パッケージ?」
既に「DADDYLAB RACING WHEEL WITH ABEC7」表記で進行中。
急遽ストップ!! 「DADDYLAB RACING WHEEL WITH SB608」表記に変更!!

そして、取り外されて不必要となる大量の ABEC7ベアリングは・・・・・

ABEC7ベアリングネックレスの発売?

・・・と、いろいろあったがベアリングの変更で仕様決定です。

NEWレーシングホイールの全容は、後編へ続く